静岡県熱海市の土石流災害に災害対策基本法第63条の適用が決定
季節外れの大雨が続いています。例年、この時期は真夏の暑さで夏バテになる事が多いのですが、東京では気温が25度に届かない日が続いています。体感的にはいつもの夏よりも過ごしやすいのですが、毎日雨が降るので憂鬱になることがあります。
7月に発生した静岡県熱海市伊豆山における土石流災害は、土石流の恐ろしさを改めて見せつけたと言えます。現在、東京オリンピック・パラリンピックおよび新型コロナに関するニュースが大きく取り上げられていることから、報道機関による続報が少ない状況です。
死者23名、行方不明者4名、損壊した建物130棟以上という大惨事になりました。静岡県は民間賃貸住宅および公営住宅を大至急確保し、生活の再建を図っているとのことです。
伊豆山の崩落起点では大規模な盛り土が行われたにもかかわらず、擁壁工事が不十分、または行われていなかった可能性が高いようです。被害者の会が結成され、崩落起点の所有者および造成業者に裁判を提起することになりました。裁判の中で原因究明が行われることが期待されます。
ところが、8月16日に災害対策基本法第63条の適用を決定したとのことです。詳細は、熱海市のWEBサイトに記載されています。
※2021年11月5日追記:掲載内容の削除によるリンク切れを確認しましたので、リンクを外しました。
この法律が適用されると被災者に対する各種の支援が行われますが、立ち入り禁止エリアが制定されます。エリア内の土地や建物の所有者といえども、地方自治体が認めない限り立ち入りは禁止され、違反した場合は罰則が適用されます。原因を調査する目的で学者や専門家が立ち入りを求めても、地方自治体の許可がないと立ち入りは認められません。
街の「復興」より「移転」を検討するべき被害状況なのかもしれません。
災害対策基本法第63条は、2011年3月に東関東大震災が発生した際に福島第一原子力発電所の周辺エリアに適用されましたが、その後約10年間に適用された事案はなかったと思います。
現在、全国各地で水害および土砂災害が多発しています。今後は間違いなく、住宅選びの際に水害ハザードマップが重視されます。水害ハザードマップにおいて大きな浸水被害が発生する懸念があるとされる土地、および土砂災害警戒区域、土砂災害警戒特別区域に指定されている土地に対する引き合いは徐々になくなると思われます。
(市町村長の警戒区域設定権等)
第六十三条
災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、人の生命又は身体に対する危険を防止するため特に必要があると認めるときは、市町村長は、警戒区域を設定し、災害応急対策に従事する者以外の者に対して当該区域への立入りを制限し、若しくは禁止し、又は当該区域からの退去を命ずることができる。
2 前項の場合において、市町村長若しくはその委任を受けて同項に規定する市町村長の職権を行なう市町村の職員が現場にいないとき、又はこれらの者から要求があつたときは、警察官又は海上保安官は、同項に規定する市町村長の職権を行なうことができる。この場合において、同項に規定する市町村長の職権を行なつたときは、警察官又は海上保安官は、直ちに、その旨を市町村長に通知しなければならない。
3 第一項の規定は、市町村長その他同項に規定する市町村長の職権を行うことができる者がその場にいない場合に限り、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第八十三条第二項の規定により派遣を命ぜられた同法第八条に規定する部隊等の自衛官(以下「災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官」という。)の職務の執行について準用する。この場合において、第一項に規定する措置をとつたときは、当該災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官は、直ちに、その旨を市町村長に通知しなければならない。
4 第六十一条の二の規定は、第一項の規定により警戒区域を設定しようとする場合について準用する。
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