コロナ禍の中で、収益用不動産の購入を検討されている方へ(その1)

 新型コロナウイルス感染症の流行が止まりません。東京都では1日当たりの新規感染者数が減り始めていますが、それでも毎日1000人を超える感染者が発生しています。

 コロナ禍が長引いていることから、経済的に苦境に陥っている企業が急増しています。昨年の夏から秋にかけ、多くの企業が金融機関から運転資金の緊急融資を受けていますが、多くは1年後、つまり今年の秋から冬にかけて返済することを前提としています。

 このため、緊急融資の返済期限に返済できない企業の多くが年末にかけて廃業、または倒産することが想定されます。

 しかし、立て直せない部門に見切りを付け、損切りをして出直すことを考える方がいらっしゃいます。損切り後に残った資金で何を始めるかが問題になりますが、有望な投資先が見つからないという理由から賃貸住宅の運営を検討している企業および投資家が増えています。

 収益用不動産の価格は個人用の住宅よりもかなり高額であることが大半であり、都内では2億円を超える物件が大半です。仲介に成功した場合、不動産会社は多額の利益が得られることから、収益用不動産の売買を専門に行う不動産会社が増えています。

 現状は需要に対し、収益用不動産の数が足りません。このため、価格は1年前よりもかなり上昇しています。

 収益物件を購入する際のチェックポイントについては、非常に多くのWEBサイトが取り上げています。しかし、現在はコロナ禍が継続しており、しかも自宅療養を強いられる方が増えていることもあり、確認を要する項目が増えています。

 本日より数回に分け、現在がコロナ禍であることから注意しなければならない点に留意しながら、特に収益用不動産の購入および運営をこれから開始される方に気を付けていただきたい内容を書くことにします。

都心のワンルーム、1Kマンションの1棟ものを購入するのは要注意
 昨年の春迄は、都心のワンルームまたは1Kの賃貸マンションは人気が高く、家賃の設定を誤らなければ空室が生じても直ぐに次の入居者が決まる状況でした。都心には若者が多く集まり、単身者用の区分賃貸マンションに対する需要がとても多かったからです。

 しかし、コロナ禍がなかなか終息しないことから状況が一変しました。緊急事態宣言が繰り返し発出されたことから飲食店に勤務していた若い単身者が一斉に解雇され、さらにリモートワークが推進されたことにより飲食店に勤務していない方も都心に自宅を構える必要が無くなり、空室が激増しました。需要が激減したことから、空室が一旦発生すると次の入居者がなかなか決まらない状況になっています。

 さらに、大企業が社員の社宅として利用するために一括借り上げを行うことも次第になくなりつつありますので、都心のワンルームまたは1Kの賃貸マンションに対する需要は激減しています。

 都心のワンルームおよび1Kの単身者用賃貸マンションにおける競争は激化する一方です。些細な問題であっても入居先を探している方から敬遠され、入居者がなかなか決まらない状況に陥っています。

 都心に立地する、間取りがワンルームまたは1Kの部屋のみで構成される1棟ものの賃貸マンションの購入は、新築・中古のいずれもコロナ禍が終息するまでは考えものであると言えます。購入しても構わないのは特急・急行停車駅の至近に立地し、設備の故障や心理的瑕疵がなく、築10~25年程度の利回りが極めて良い物件です。利回りは、「実質利回り」で6%以上が目安になります。

 なお、物件広告に記載されているのは「表面利回り」です。

※明日の投稿に続きます。