住宅ローンで、賃貸住宅として運用する戸建住宅を購入してはいけません(その2)
※一昨日前に投稿した内容の続きです。
一昨日前の投稿に書きましたが、賃貸用途で戸建住宅をローンを利用して購入する際は、事業用ローンによる融資を受けることになります。ところが、自己居住用の居宅(自宅)を購入する際に利用する住宅ローンの方が利息が安いので金融機関に虚偽の申請を行い、住宅ローンを利用して購入される方がいらっしゃいます。
また、事業用ローンではなく、住宅ローンを利用することを不動産会社の営業担当から勧められて住宅ローンによる購入をされる方がいらっしゃいます。
これらの行為は身の破滅を招く、自殺行為です。不動産会社の質が良くない営業担当から勧められたとしても、金融機関が許してくれることはありません。
融資を不正に受けたことが発覚した際にはどうなるか
本来であれば事業用ローンを利用しなければならないのに住宅ローンを利用して不動産を購入したことが発覚すると、虚偽の事実に基づいて金銭消費貸借契約を締結したとして、金融機関またはサービサーが金銭消費貸借契約を解約します。
すると「期限の利益」を喪失したとして、残額の一括返済を求めてきます。当然ですが、ほとんどの場合において不動産の所有者には一括返済をするだけの資力がありません。
このため、抵当権または根抵当権に基づき不動産が差押えられ、任意売却または裁判所が開催する不動産競売にかけられることになります。任意売却および不動産競売の手続きは、同時に行われます。
この段階で、多くの方は弁護士に対応を一任します。任意売却の場合、通常は弁護士が提携する不動産会社が金融機関との間に入り、金融機関と交渉して売却価格を決め、金融機関に任意売却を行うことの許可を求めます。
多くの場合において金融機関は任意売却を認めますが、不動産競売を実施した方が高値で売却出来ると思われる場合は任意売却を認めず、不動産競売の実行に持ち込むことがあります。
東京都区内の物件を任意売却で売却する場合、通常は市場流通価格の3割程度安い価格で売られることになります。任意売却が成立した場合、物件を購入した方が不動産の賃貸人になり、賃貸借契約を承継することになります。
なお、不動産競売を行う場合は裁判所の執行官、不動産鑑定士、解錠技術者が同行して物件の内部に立ち入り、写真を撮影し、現況調査報告書を作成して地方裁判所(通常は民事部)に提出します。
そして不動産競売の実施日が確定した場合、室内の写真を含め、現況調査報告書はインターネットに公開されます。誰でも自由に閲覧できるので賃借人のプライバシーが損なわれ、迷惑をかけることになります。
この立ち入りは賃借人の協力がなくても行うことが認められていますので、賃借人が不在の場合でも開錠技術者が物件の扉を解錠し、粛々と行います。
差押えから不動産競売の実行までに要する日数は、物件の状況および管轄する地方裁判所の都合により大きく異なります。3か月~1年を見込む必要があります。
その後、地方裁判所が競売開始を決定し、不動産競売を実行し、所有権が買受人に移転します。不動産競売の実施が公告されてから所有権移転までに要する必要日数は約3か月です。
東京都区内の物件に対し競売が実行された場合、市場流通価格の7割~半額程度で売られる物件が多いです。なお、賃借人が居住する場合、売却基準価格が安く設定されることが多いです。
任意売却、不動産競売のいずれであっても、売却価格から一括返済を求められた金額を差し引いた金額が元の所有者に渡ります。しかし、ほとんどの場合に金額がマイナスになるので、金融機関と相談した上で分割して返済していくことになります。返済できない場合は自己破産を迫られることになります。
不動産競売で売却された場合、新たな所有者の意向により賃借人が退去を求められることがあります。ローンの不正請求に絡む事案の大半は、抵当権設定後に賃貸借契約が締結されているのが通常であるからです。
この場合、退去を要求された賃借人は6か月以内に部屋を明け渡さなければなりません。引越費用などは元の所有者に請求できますが、無資力であることが多いことから賃借人が負担を強いられることになります。この点においても賃借人に迷惑をかけることになります。
まとめ
折角購入した物件を取り上げられ、借金が残り、場合により自己破産を迫られ、賃借人に迷惑をかけることになりますので、賃貸用途で戸建住宅をローンを利用して購入する際は、事業用ローンによる融資を受けることが必要です。
利息が安いからといって、事業用不動産の購入に際し住宅ローンを申請することは多額の財産と時間を失い、身の破滅を招きます。
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