日経平均株価の下落が長期化すると不動産価格に影響する

 ここのところ、毎日のように日経平均株価が下がっています。2万7千円台半ばをうろうろしており、アベノミクス真っ盛りの頃と比較すると、大幅に下げています。

 中国の大手不動産会社である恒大集団が破綻寸前であり、アメリカ国債がデフォルトする恐れがあるとの報道により値下がりしているものと思われます。アメリカ国債のデフォルト懸念は、例によって民主党と共和党とのチキンレースではないかと推察されるのであまり気になりません。しかし、問題は中国の恒大集団です。

 ここが経営破綻した場合にどのような影響が出るのかわからず、ひょっとしたらリーマンショックの再来になるかもしれないという懸念が投資家の心理にマイナス効果を与え、株取引が控えられているというのが真相のようです。

 株取引をしない方においては「株価がどうなろうが自分には関係ない」とか、「大した問題」ではないとお考えの方が多いかもしれません。

 しかし、株価の動向は投資家および企業経営者の動向を左右します。リーマンショックのような事態が再び起きれば企業の統廃合、廃業および倒産が続出し、賃金カットや解雇に繋がります。

 リーマンショックが発生した際、株取引を行っている方の中には大規模な損失を抱えた方が多くいらっしゃいます。私の周りにも勤め先が倒産したために解雇された方、および株の価値が下落したことから数千万円以上の損失を被った方が大勢います。株取引をしていなくても、株価は自分の生活に関わります。

 株価の著しい低迷が長く続くと、不動産価格に影響します。いわゆる投資家は、資産を現金で保有するだけではなく、ほぼ例外なく株を購入しています。

 株価が下がることは投資家における資産の減少です。株価の著しい下落が長期化すると事業向けの投資は控えられ、収益用不動産に対する(購入)需要が減少します。

 また、東京都内の高級住宅街にハイグレードな自宅を購入される方の多くは、株で儲けた資金を利用して購入しています。株価の低迷が長期化すると高級住宅街では不動産が売れなくなり、売却価格を下げることになります。結果として地価が下がります。

 都内の高級住宅街に自宅を購入するつもりはないとお考えの方にも、株価の低迷は大きく影響します。株価が下がると住宅ローンの審査が厳しくなります。

 住宅ローンの審査を行う際には、勤めている会社の経営状況も判断の材料とされています。正社員として10年以上勤務している場合でも、勤め先の経営状態が良くないと判断されれば住宅ローン審査を通過出来ないか、融資金額の引き下げを提案されることがあります。

 意外に知られていないのですが、一部上場の大企業も例外ではなく、経営状態悪化の報道が行われると社員に対する住宅ローン審査は厳しくなります。融資不可にならない場合でも、購入価格の6~7割しか融資できないとして融資金額の引き下げを提案されることがあります。

 緊急事態宣言が解除されたこともあり、このあたりで株価が反転して値上がりすることを期待したいです。そのようにならないと不動産の価値は下落し、住宅ローンを利用して自宅を購入したい方が自宅を購入できなくなる恐れがあります。