収益用不動産を購入する際に見落としがちなもの
一昨日および昨日の投稿では賃貸アパート、賃貸マンションなどの収益用不動産を購入する際には現地の視察および内見が欠かせないことを書きました。
その他にも、現在入居中の賃借人におけるレントロール(各部屋における入居者の氏名、家賃、入居日、契約期間などを一覧にまとめたもの)、表面利回り、実質利回りと算出方法、固定資産税・都市計画税の金額、建築確認申請の有無、各部屋に備えられている設備の内容、サブリース契約締結の有無等を確認する必要があります。
通常は、不動産会社または売主から説明があると思います。しかし、不動産会社の担当者がこれらについて説明しない場合は説明を求めてください。これらの情報は極めて重要です。情報の開示に応じない場合は、当該物件の購入を控えるのが賢明です。
購入を検討する際には、その他に必ず確認しなければならないことが数多くあります。それは当該収益用不動産の増改築、修繕および設備更新における履歴と発生した費用、現オーナー様と入居者との間で取り交わしている全ての賃貸借契約書です。
建物の増改築を行っている場合は設計図書を確認
建物面積の変更を伴う大がかりな増改築を行っている場合は建築確認申請および完成検査が行われているかを確認する必要があります。建築確認申請および完成検査が行われていない物件の場合、事業用ローンの利用を断る金融機関があります。
建築確認申請を行うことなく大規模な増築を行った建物の場合、建ぺい率および容積率を超過していることがあります。付近の住民等から建ぺい率または容積率が超過していることを特定行政庁(または地方自治体)に通報された場合、最終的に増築した部分を取り壊し、増築前の状態に戻すように命じられることがあります。
大規模修繕を実施した履歴の確認
実施時期と内容、工事金額を確認します。また、オートロックやエレベーターがある物件の場合は、設置時期、設備更新がある場合はその内容、保守点検および修繕の履歴、要した費用を確認する必要があります。
オートロック、エレベーターに不具合があるにもかかわらず、現オーナーにおいて修理費を支出できないことから放置されている物件があります。このような物件の場合には修理が可能なのか、可能であれば必要な金額はどのくらいなのかを見積もる必要があります。
各部屋の設備における修繕および更新履歴の確認
修繕および交換した設備の内容と交換時期、費用を確認します。湯沸かし器、コンロ、水洗トイレ、エアコン等がメインになります。
賃貸借契約書の確認(全ての入居者について)
レントロールに記載されている内容が賃貸借契約書に記載されている内容と異なることがあります。賃貸借契約の更新時に家賃を改定しているのにレントロールに反映されていないことがありますし、レントロールに記載されている内容が賃貸借契約書における記載内容と異なることがあります。
コロナ禍であることから、現オーナー様において家賃の減額を承諾している部屋があるかもしれません。これについても確認が必要です。
その他、家賃を滞納している部屋がある場合は、滞納状況および入居者との話し合いの内容を調査します。滞納者が多い物件の場合は、購入を見送ることを検討するべきです。
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