賃貸物件の中で、非公開物件とされるものについて

 自身が入居する賃貸物件をお探しのお客様から「インターネットに掲載されていない物件だけ紹介して欲しい」とか「非公開物件の中にしか良い物件はないと聞いたので、非公開物件だけを紹介して欲しい」と言われることがよくあります。

 しかし、賃貸募集の依頼直後であることから調査中である等の物件を除き、非公開とされる賃貸物件の多くはトラブル発生の恐れが高い物件、および危険な物件です。

トラブルになる恐れがある物件の例
・オーナーが入居者の生活状況などに対し、過度に干渉する。
・反社会的勢力に属する者が入居している。
・深夜に大音響で音楽を流す入居者がいるが、オーナーも管理会社も何ら注意しない。
・オーナーに対し、心理的瑕疵があるかを確認しても回答しない。
・心理的瑕疵があり、入居者から怪奇現象に遭遇したとするクレームが寄せられている。
・同じ建物内に粗暴な性癖を有する入居者がおり、他の入居者とのトラブルが絶えない。
・建物が違法建築物であることから、行政が建物の取り壊しを命令する恐れがある。

危険な物件の例
・外階段の朽廃が酷く、錆で朽ち果てる恐れが高いのに修理しない。
・本来は室外に設置しなければならない湯沸かし器を室内に設置し、排気ガスを室内に放出している。
(一酸化炭素中毒による死亡事故が発生してもおかしくない)
・雨漏りを放置しているために部屋がカビだらけ。
・窓ガラスの施錠ができないので、防犯効果がない。
・オートロック、エレベーターの故障を放置している。

 不動産会社の本音として、これらの物件の紹介はなるべく控えたいのが本音です。しかし、オーナー様の大半は、1日も早く入居者を決め、家賃収入が欲しい方とお考えなので、不動産会社としては何とかして入居者募集に役立てないかを考えます。

 「トラブルになる恐れのある物件」については、一般向けではないのでオーナー様の了解を得た上で非公開物件にすることになります。インターネットのポータルサイト等には掲載しません。物件を借りたい方には問題点の内容を説明し、納得してもらえた場合に限り客付けをしています。

 当然、家賃は地域の家賃相場よりも低く設定していますので、「家賃が激安な物件に入居したい」と言われた方に対してのみ紹介することになります。

 「トラブルになる恐れのある物件」については、オーナー様から通常の賃貸物件と同じ扱いをするように求められても、オーナー様において原因を解消する意思がない場合は賃貸募集をお断りすることがあります。

 「危険な物件」に客付けをして事故が発生し、入居者が死傷する事態になった場合は物件の仲介を行った不動産会社が損害賠償を請求されることになります。

 このような物件の取り扱いは不動産会社によりまちまちですが、私の会社では上記の「危険な物件の例」に該当し、オーナー様において改修する意思がない物件については賃貸募集をお断りしています。