令和4年4月より成人年齢が18歳になることによる賃貸借契約への影響
民法が改正され、令和4年(2022年)4月より成人年齢が18歳に引き下げられます。これにより不動産取引、特に賃貸借契約において影響が生じ、多少の混乱が発生するかもしれません。
民法は、未成年者に対し取消権を与えています。未成年者は意思能力が不十分であるからです。取消権を与えるだけではなく、さらに取り消した契約は無効になることを定め、未成年者を保護しています。
賃貸借契約に対する影響
今後、成人年齢が18歳になると、主に大学生が賃貸アパートに入居する際に締結する賃貸借契約における契約の主体(借主)を誰にするかという問題が生じます。
★現在
大学に通学するための下宿先として賃貸アパートを借りる場合、現在は法定代理人である親などの同意が必要です。
賃貸借契約の賃借人が未成年者である場合、入居開始後に未成年であることを理由として賃貸借契約が取り消されると賃貸借契約は当初から無効になることから、賃貸物件のオーナー様が不測の損害を被ります。このため賃貸借契約を締結する際には、法定代理人に同意書の提出を求めます。
または賃貸借契約における賃借人を法定代理人とし、家賃および共益費は親などの法定代理人に支払をお願いすることがよくあります。この場合、入居審査の対象は、賃借人になる法定代理人になります。
現在、ほとんどの賃貸物件において賃貸保証会社(家賃保証会社)による保証契約の締結が必須とされています。賃借人が大学生である場合、収入が少ないことから法定代理人による連帯保証人の引き受けが条件になることがよくあります。
★2022年4月1日以降
成人年齢が18歳になると、保護者による親権の行使ができなくなります。このため、賃貸借契約の賃借人は法定代理人ではなく、入居者本人になります。
本人が18歳以上であれば、親などの同意がなくても本人を賃借人とする賃貸借契約を締結できるようになります。つまり部屋のグレード、家賃、ロケーションなどを「子」が単独の意思で自由に決定できるようになります。この場合、家賃および共益費などは入居者本人が支払うことになります。
入居審査は本人に対して行われることになります。しかし、入居希望者が大学生の場合、収入が少ないことから親などを連帯保証人に立てなければ賃貸保証会社(家賃保証会社)が保証契約の締結を拒むことが想定されます。
従って、賃貸借契約における借主を親などにするしかない場合が生じると思われます。
賃貸借契約の際に、入居希望者の年齢が17歳である場合
下宿先を探すのは2~3月が中心になります。このため、入居希望者の年齢が賃貸借契約の際に17歳であることがあります。この場合は法定代理人の同意が必要になります。
または賃貸借契約における賃借人を法定代理人とし、家賃および共益費は親などの法定代理人に支払をお願いすることになります。
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