所有地に賃貸住宅を建てる際、ハウスメーカーへの直接依頼は要注意
所有している自宅を賃貸併用住宅に建て替える、または実家を相続した際に建物を取り壊し、賃貸住宅を建設する際に、何故かハウスメーカーの展示場等に行き、そのまま建築を依頼される方が多くいらっしゃいます。
ハウスメーカーの担当者に言われたままに高級賃貸住宅を建築したところ、新築なのに入居者がなかなか決まらずに困っている等の相談を受けることがたまにあります。相談内容の多くは、豪華な建物を建築したために建物建築費が膨らみ、室内設備も高額な高級品を揃えたことから家賃を高く設定して高級賃貸マンションとして入居者を募集しているが、入居者が決まらず困っているというものです。
また、ハウスメーカーの担当者に勧められた通り、土地の約4分の3を賃貸併用住宅にし、残りの約4分の1を車が4台入れる月極駐車場にするプランを実行したものの、土地の奥行きがないことから実際には車2台しか入れず、予定していた収入を得られないという相談を受けたことがあります。
ハウスメーカーに相談する前に不動産会社と相談していれば、このような事態に遭遇することはなかったと思います。建物が竣工した後に解決策を見いだすことは極めて困難です。
ハウスメーカーはあくまでも建物建築の専門家であり、賃貸住宅経営の専門家ではありません。ハウスメーカーの営業担当には、建築に関する膨大な知識があります。しかし、賃貸住宅そのもの、および賃貸住宅経営に関する知識が乏しい方が散見されます。知識が乏しい営業担当に言われるままに建物を建築すると、上記の事案のような状況に陥り、大変な目に遭うことがあります。
ハウスメーカーに直接依頼すると、建築費が高いプランを勧められがち
ハウスメーカーの収入源は建築費です。このため、どうしても建築費をなるべく高くし、より多い利益を得ることを考える傾向があります。その結果、採算が合わない賃貸住宅の建築プランを示されることがよくあります。
どのエリアにも賃貸住宅の家賃には相場があります。相場より高い家賃を設定すると、空室を埋めることは困難になります。
「ハウスーメーカーの担当者から『新築物件は、建築してから数年は家賃を相場の6割増しにしても大丈夫です。』というセールストークを受けたが本当か。」と尋ねられたことがあります。『新築の物件では高い家賃収入を得られるので、ここは奮発してヨーロッパ製の高級な水回り設備を導入し、建物をデザイナーに設計させ、豪華な建物にしましょう。高級賃貸住宅として貸せば良いです。』と言われたとのことです。
東京都区内の場合、新築物件であることから家賃を相場より高めに設定する場合はせいぜい1~2割増しが限度です。家賃をそれ以上の金額に設定すると、入居希望者はいつまで経っても現れません。「高級賃貸住宅なので、家賃が高めです。」というアピールは、著名芸能人、プロスポーツ選手、その他の有名人向けの都心にある賃貸物件であれば通用しますが、それ以外の賃貸物件では入居促進に繋がりません。
賃貸物件を運営する際に、最も注意が必要なのは「利回り」です。上述したハウスメーカー担当者に勧められたプランで賃貸住宅を建築すると利回りが低くなるどころか採算が合わず、経営は即時に破綻します。
売買仲介および賃貸仲介を生業とする不動産会社に相談することをお勧め
賃貸住宅を運営する際には賃料相場から想定される賃料、および希望する利回りを考慮し、建物の建築費を見積もる必要があります。
このため、売買仲介および賃貸仲介を生業とする不動産会社に相談することをお勧めします。不動産会社では適正賃料、想定利回り、立地、建物の種類等を考慮し、最適なハウスメーカーまたは建設会社を紹介します。相談を受けた不動産会社はプランの内容が適正であるかをチェックします。建築費の価格交渉もしてもらえます。
仲介手数料を支払うことなく紹介や相談、交渉をして貰えるのか疑問に思われるかもしれませんが、賃貸住宅が竣工した後の入居者募集を専任媒介で依頼することを約束する、または管理契約を締結して管理を任せることにより、引き受けに応じる不動産会社が大半であると思います。
不動産会社に依頼する場合は、売買仲介および賃貸仲介の両方に詳しい会社に依頼することをお勧めします。駅前に多い賃貸専門の不動産会社、土地および戸建住宅の売買のみを行っている会社、戸建住宅の建築のみを行う会社に依頼することはお勧めしません。
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