賃貸物件のオーナー様による「入居不可」の判断が問題になる場合(その3)

※一昨日投稿した内容の続きです。

6.「風俗業に従事する方の入居不可」について

 オーナー様の中には風俗業に従事している方の入居を拒む方がいらっしゃいます。その理由は、概ね以下の通りです。

・多くの他の入居者と生活時間帯が異なる。昼間は寝ている方が多いことから隣室のテレビ音声、音楽などがうるさい等の騒音に関するトラブルが生じがちである。
・給与が歩合制であるところが多いことから月により収入が減少することがあり、このような場合に家賃の滞納が発生しやすい。

・金遣いが荒い方が多く、家賃の滞納に繋がりやすい。
・雇い主が反社会的勢力の関係者(構成員または準構成員)であることが多い。

 上記の内容は、風俗業に従事する全ての方に該当するわけではありません。しかし、最後の1行(赤字)はかなり問題です。現状ではオーナー様から「風俗業の従事者は入居不可にして欲しい」と依頼されたら、それに従う不動産会社が多いです。

 これは差別意識に基づくものではありません。賃貸借契約書には反社会的勢力排除条項を特約条項として定め、反社会的勢力の関係者であることが発覚した場合は直ちに退去してもらうことを誓約していただいています。オーナー様において、雇い主が反社会的勢力の関係者である可能性が高い属性の方を入居させたくないという意思をお持ちの場合は、入居不可としても仕方ないと考えられます。

 実務では、家賃保証会社による保証契約の引き受けを打診する前に、オーナー様の意向にかかわらず、不動産会社が「入居不可」と判断することが多いです。

 ただし、 賃貸保証会社(家賃保証会社)が保証契約を引き受けた場合であれば入居を認めるとする不動産会社があります。 繁華街や歓楽街の近くにある不動産会社では、このような対応をしているところがあります。

 ちなみに「国」および「都道府県」は風俗業の従事者を「入居不可」にすることについて黙認している感があります。「外国人、高齢者等を入居させないことは人権問題である」としていますが、風俗業の従事者を入居不可にすることについては、見解を何も提示していません。

 性的なサービスを提供する事業者に対し、金融機関(日本政策金融公庫)は融資しません。国としては、風俗業を「歓迎しない職種」としていることと、無関係ではないと考えられます。