収益用不動産の購入後に確認するべき点(その3、建物・設備の状態)
収益用不動産における建物および設備の状態は、ほとんどの場合において、売買契約を締結する前に買主様に対して不動産会社から説明があります。このため、ある程度の確認を済ませていることが多いと思います。しかし、物件の購入直後に建物および設備の状態を確認し、必要に応じてオーナーから関係する業者等に連絡しておくことをお勧めします。
主な内容を挙げると具体的には以下の通りです。
1.エレベーター、オートロック
定期点検に関する契約の再確認と、機器更新・修繕・点検の履歴を確認します。そしてこれらの機器に関するメンテナンス会社との契約をチェックし、前所有者が実施していた点検内容で構わないかを再確認します。
その際には前所有者が締結していたであろう保守契約書、修理・点検記録を提示してもらうことをお勧めします。
多くの場合において、新しいオーナー様は点検業者との間に保守契約を締結することになります。その際に現在の機器における状況を説明してもらい、部品の交換時期と発生する費用の概算を確認しておくことをお勧めします。
2.屋上および外壁の状態
屋上については防水塗装または防水シートの状態を確認します。鉄筋コンクリート造、または鉄骨鉄筋コンクリート造の建物の場合、寿命は木造建築物よりも格段に長いですが、それは屋上の防水がしっかり行われている場合です。防水塗装が不十分である、または防水シートが破損している状態を放置し、雨漏りが発生する状態になると建物の寿命は極めて短くなります。場合により、一般的な木造住宅の寿命である20~30年よりもかなり短くなることがあります。
外壁については、コンクリートの剥離が起きる恐れがないかを確認します。剥離を確認できない場合でも外壁を塗装することにより入居希望者の印象が良くなり、入居者が早く決まることに貢献します。
屋上および外壁の補修は主に大規模修繕の際に行うので、大規模修繕の時期を予め想定しておくことが必要です。過去に大規模修繕を行っている場合は、前所有者に修繕に関する記録を提示してもらいます。専門業者に相談し、大規模修繕の推奨時期と金額を見積もってもらうことをお勧めします。
ただし、前述した防水塗装の欠陥または防水シートの破損が確認された場合は直ちに修理する必要があります。
所有者が変更した後、確認を忘れがちなのは事故防止のために屋上に立ち入れない措置が執られているかの確認です。出入り口がある場合には常に施錠されているかを確認します。
古い物件の場合、屋上を入居者に物干し場として開放していることがあります。この場合は、所有者が変更したからといって屋上を直ちに立ち入り禁止にすることは困難です。手すりの状態をチェックし、腐食している箇所がある場合は直ちに修理します。転落事故が起きないようにします。
3.廊下、階段などの共用部
これもほとんどの場合において、売買契約を締結する前に確認していると思いますが、廊下や階段などの共用部に私物や植木鉢を置いている場合にはこれを片付けてもらうことをお勧めします。共用部に物品が置いてあると火災発生等の際に避難する妨げになります。所有者変更の連絡をする際に、片付けに協力して欲しい旨を伝えておきます。
4.ゴミ置き場
ゴミが乱雑に置かれている場合、入居者に対しゴミの収集日が周知されていないことがあります。乱雑に置かれている場合はゴミの収集日を改めて入居者にお知らせし、収集日以外にゴミ出しをしないようにお願いします。
5.自転車置き場
どこの賃貸物件でも悩みの種です。お部屋の数を遥かに超える台数の自転車が置いてあり、入居者間で問題になっていることがよくあります。
入居者が退去し、引越しを行う際に自転車置き場にそのまま放置される自転車があることが原因です。所有者不明の自転車がある場合は持ち主に申し出てもらうようにし、一定期間内に申し出がない自転車は移動または廃棄するのが通常です。
なお、所有者が不明でも防犯登録が行われている自転車があります。この場合は物件近くに居住する者が自転車を乗り捨てている場合があります。この場合は、安易に廃棄しないことをお勧めします。
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