収益用物件として区分マンションを購入する際の注意点

 サラリーマン、自営業者等の方が副業として賃貸住宅の運営をする際に、大半の方が最初に購入する物件として考えるのは区分マンションです。

 区分マンションには単身者用のワンルームおよび1Kのマンションがあります。また、ファミリー用としては間取りが2DK~3LDKの物件が好まれています。これらのマンションを事業用ローンを利用して購入し、賃貸住宅経営に参入される方が多くいらっしゃいます。

 収益用に区分マンションを購入して運用する場合、物件の選択を誤らず、適正な価格で購入すれば赤字経営になる恐れは少ないです。しかし、1棟もののアパートやマンションとは異なり、注意が必要な点がいくつかあります。

 注意を怠り、買ってはいけない区分マンションを購入したことから大赤字になり、最終的には購入した物件を任意売却または不動産競売により安く売却しなければならなくなった事案は数多くあります。しかも、売却後に多額の借金が残り、最悪の場合は自己破産を迫られる方が増えています。

管理費、修繕積立金、固定資産税、都市計画税に注意

 収益用不動産の運用経験がない方に多いのですが、表面利回りが高いという理由で物件を選択し、運営が破綻する例があります。収益用区分マンションでは管理費、修繕積立金を毎月支払う必要がありますが、これらの金額が異様に高額なマンションがあります。

 また、都心にある築浅のマンションでは固定資産税および都市計画税が高額な物件があります。表面利回りが高い物件でも、 想定される家賃収入から管理費、修繕積立金、固定資産税、都市計画税を差し引き、さらに事業用ローンを利用する場合は毎月の返済額を差し引き、手元に残る金額を計算しておく必要があります。

 いわゆる「実質的な利回り」があまりにも少ない場合、その物件の購入は控えるべきです。

想定される家賃収入に注意

 物件があるエリアにおける家賃相場を必ず確認する必要があります。築浅の物件でも、家賃相場の3割を超える家賃が想定されている物件は要注意です。相場を大きく超える高額な賃料の物件に入居する方はほとんどいません。

 中にはいわゆるサクラを入居させ、売却後1~2か月が経過したところで解約し、空室になる物件があります。家賃相場を大きく超える高額な賃料であるにもかかわらず、入居者がいる物件には注意が必要です。

既に賃借人が入居している物件でも注意が必要

 賃借人が入居していても、入居者が家賃を滞納している物件があります。また、入居者が近隣の方とトラブルを起こすことから売り出されている物件があります。

 家賃の納付状況、および入居者がトラブルメーカーではないかについては、仲介を行う不動産会社に必ず確認しておきます。

空室期間が長期化しても、管理費・修繕積立金を支払えるだけの金銭的余裕が必

 1棟もののアパート、マンションとは異なり、区分マンションでは1部屋が家賃を滞納するとその物件における家賃の全額が得られないという状況になります。

 空室期間が半年~1年程度続いても管理費および修繕積立金を支払えるだけの金銭的余裕が必要です。コロナ禍が継続していることから家賃の滞納事案が増えています。

 家賃を支払わず、居座る入居者については最終的には裁判を提起して退去させることになります。ファミリー向けのマンションの場合、その費用は100万円を超えることがしばしばあります。入居者が家賃を滞納している場合でも、管理費および修繕積立金は毎月支払う必要があります。