経済安全保障推進法が成立

2023年5月12日

 経済安全保障推進法が2022年5月11日に成立しました。時事ドットコムから引用します。

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※2023年5月12日追記:リンク先の元記事が削除されたのでリンクを外しました。

経済安保、民間対応が課題 政府関与や負担増に懸念も
2022年05月12日07時19分

 11日成立した経済安全保障推進法は、半導体といった重要物資のサプライチェーン(供給網)強化など国家戦略的な政策を推し進める柱となる。一方で、物資や技術、基幹インフラに関する政府の関与が強まり、民間企業側には法対応の負担増への懸念がある。政策の定着には官民の十分な意思疎通が不可欠だ。

 ロシアのウクライナ侵攻により供給網やエネルギー資源の調達の重要性は一段と高まった。経済安保政策に関わる内閣官房関係者は「経済、先端技術政策を安保上の観点で目配りすることが不可欠となった」と指摘。推進法を確実に施行し、地政学リスクへの備えを拡充する考えを示した。 

 推進法では、半導体などの海外メーカーの国内生産誘致も進め、重要物資の供給網を強化する。金融、情報通信など14分野の基幹インフラについては、安保上の懸念がある国の製品を実質的に排除し、サイバー攻撃への備えを固める。今後定める政省令でメガバンクや大手通信会社などが対象事業者に指定される見通しだ。該当企業は事前審査への対応などの負担が増す。

 法施行をにらみ、先端技術を扱う電機・ITの大手企業や大手金融機関は対応に乗り出した。富士通やNECなどが経済安保、国際リスク管理を担う専門部署を設置。金融関係者も「欧米が同様の規制を導入する中、対応はやむを得ない」と語る。

 ただ、資金や人員が限られる中堅・中小企業の対応は容易ではない。大企業の間にも「経済安保政策が今後、どこまで拡充されるのか見えてこない」といった不安が漂う。小林鷹之経済安保担当相は法施行や新制度導入に当たっては「産学官それぞれで意見交換していく」と語っているが、今後の政省令で定める項目は138に上る。経団連の十倉雅和会長は11日のコメントで「必要な情報の共有を求めていく」と改めて表明した。

時事ドットコム

 この法律およびこの法律を基にして定められる政令が規定する「基幹インフラ」を設けようとする際には、監督官庁による事前審査が必要になります。「基幹インフラ」としては以下の14種類が定められています。

 電気、ガス、石油精製および石油ガス輸入、水道および水道供給、鉄道、一般貨物事業者運送、貨物定期航路と一定の不定期航路、航空(国際及び定期国内)、空港管理および空港施設運営、電気通信、放送、郵便事業、金融事業(保険業及び第一種金融商品取引業)、包括信用購入斡旋の業務を行う事業

 これらの事業を行う際には国が行う審査により、安全保障上の懸念がある国の製品を実質上排除し、サイバー攻撃から守るとのことです。しかし、問題は「安全保障上の懸念がある国」とはどこの国を指すのか、どの製品が排除の対象になるのかです。

 ロシアが対象になることは間違いないでしょう。しかし、仮に中国を含めるとなると、企業における日常業務において使用するPC、コピー機等の大半を利用できないことになります。CPU、ハードディスク、メモリー、モニター、半導体基板、キーボード、マウス、プリンター、WEBカメラ等には中国製品が非常に多いです。台湾製のパーツにも中国産のICが利用されているものが多くあります。中国製品を全て排除すると、パソコンによる日常業務を行うことが不可能になります。

 今後は半導体の「国内生産」を各企業に要請するようですが、通常の感覚では考えられないほどに異様に高額なものになることが避けられません。従来は20万円程度で購入できたPCが50~70万円以上になることが容易に想定されます。最も問題なのは、現時点において純国産の製品が何も存在しないことです。

  経済安全保障推進法が規定する「安全保障上の懸念がある国」 に韓国が指定されると、日本で日常的に広汎に利用されている「LINE」が使用禁止になるかもしれません。これは決して大袈裟な話ではありません。

 現在、「韓国は竹島を不法占拠している」というのが日本政府の認識であることから、韓国が 「安全保障上の懸念がある国」に指定されてもおかしくありません。

 LINEの権利は企業の統廃合によりあちこちに移り変わり、現在は日本企業に移っているようですが、組織の運営は韓国人が行っているようです。

 不動産業にも影響があります。例えば基幹インフラに関わる企業がデータセンターを設ける目的で土地を購入して建物を建てる場合、 「安全保障上の懸念がある国」 の資本が入っている建設業者、および 「安全保障上の懸念がある国」から来日して勤務している社員がいる建設業者の排除を求められる懸念があります。

 さらに、大規模な土地の売買が大きく成約される懸念があります。

 企業の経済活動が大きく制約を受けることになるので、政令を策定して運用する場合には慎重な配慮が必要であると言えます。