収益用区分マンション経営は、単身者用よりファミリー向けが安全か

※お断り
 本日投稿する内容は、あくまでも筆者の個人的な見解です。

 昨日の投稿では、賃貸不動産の運営事業を初めて行う方が単身者用区分マンションを購入し、多額の財産を失う事案が頻発していることを書きました。 それではファミリー向けの2LDK、3LDK等の間取りを有する区分マンションであれば、安全に運営できるかが問題になります。このことについて、お客様から時々質問を受けます。 

 結論から申し上げると、物件が所在するエリアによります。都内であれば港区、渋谷区の東側で山手線の内側にあるエリア、品川区の中でも山手線の内側にあるエリアであれば、そのエリアに居住したいと考える方の多くは富裕層なので、利回りが多少低くなることを覚悟していれば問題なく運営できる可能性が高いです。

 富裕層の多くは「利便性が良好であり、居住環境が快適であれば家賃が多少高くても構わない」と考えるので、仮に空室が発生した場合でも空室期間が長期化する恐れは少ないです。もちろん、故障している設備がなく、リフォームやハウスクリーニングが行われていることが条件になります。

 特筆できる点としては、家賃を滞納する方が少ないことがあげられます。上述したエリアに入居している方の多くは、何らかの理由により家賃を支払えない状況になると感じた時点で家賃の安い物件に転居します。入居審査をしっかり行う必要がありますが、オーナー様が家賃滞納に悩まされることは比較的少ないです。

 残念ながら、上述したエリアに所在する物件の利回りはかなり低くなります。マンションの価格が極めて高額であり、さらに毎月発生する管理費および修繕積立金、毎年発生する固定資産税および都市計画税が高額であるからです。表面利回りが5%に満たない物件が大半であり、年間の実質利回りは2~3.5%程度になると思われます。利回りが低めですが、安定した収益を期待できると言えます。

 上述したエリア以外に所在するファミリー向け区分マンションの場合は、空室がなかなか埋まらない傾向があります。特に最寄り駅から徒歩6分を超える物件では空室期間が長期化する傾向があります。

 私の会社がある東京都目黒区における2LDKタイプの家賃相場は広さおよび築年数によりますが14~20万円程度です。中心価格は17~19万円程度であり、毎月の世帯収入(手取り)が60万円近くないと入居出来ません。

 この程度の収入を得ている方はいわゆる「中間層」に分類され、家賃滞納に陥ることは稀です。

 しかし、不景気の長期化により「中間層」に属する方は急激に減少しています。このため、目黒区のような高級住宅街でも空室が生じた場合における空室期間は、築浅の物件を除き、次第に長期化しています。

 都内における家賃8~12万円のファミリー向け区分マンションでは、家賃滞納の事案がしばしば発生しています。その原因は、賃借人が「勤務先から解雇された」、「賃金カットを受けた」等が多いです。勤め先を解雇された方が「毎月8~12万円」を支払い続けることは、かなり困難です。

 収益用不動産としてファミリー向けの区分マンションを運営する場合は、港区、渋谷区東側、品川区北側のいずれに所在し、かつ山手線の内側にある物件であれば、物件価格が高額かつ利回りが低いものの賃貸住宅経営は安定することが多いです。このエリア内であれば、単身者用区分マンションを運用する場合よりも経営が安定する傾向があります。

 しかし、それ以外のエリアでは築浅かつ駅近の物件でないと空室期間が長期化する傾向があり、かつ家賃滞納が発生する頻度が高いので、あまりお勧めできません。