不動産の契約書における宅地建物取引士の押印義務はなくなりました
令和3年5月18日に「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」が公布され、令和4年5月18日より一部が施行されました。これにより不動産取引を非対面で行うことが可能になったことは各種報道によりご存じの方が多いと思います。
この法律の一部施行に合わせ宅地建物取引業法施行規則が一部改正され、「標準媒介契約約款」(平成2年建設省告示第115号)も一部が改正されました。
従来は賃貸借契約書、賃貸借更新契約書、売買契約書、重要事項説明書等に宅地建物取引士が記名し、押印することが義務づけられていましたが、令和4年5月18日より宅地建物取引士の押印を省略できることになりました。
なお、賃貸借契約または売買契約に関する重要事項説明は必ず宅地建物取引士が行い、その際に宅地建物取引士証の提示が必要なことは従来通りです。また、押印を省略できるとしても、記名の省略は認められていません。
今後作成される不動産契約書等においては宅地建物取引士の押印は省略されるのが通常になります。しかし、重要事項説明書および契約書が紙面で作成される場合、契約当事者および仲介した不動産会社の押印は省略されず、従来通り押印されることになります。
「仲介した不動産会社の押印も不要とするべき」という見解がありますが、どこの不動産会社が仲介したかを明示し、書面上にその証拠を記載することは重要であることから、私は必要であると考えています。通常、重要事項説明書を説明する宅地建物取引士は仲介を行う不動産会社の従業員なので従業員個人の押印は不要であるとしても、仲介した不動産会社に押印させることは重要であると考えられます。
後日にトラブルが発生した際に、どこの不動産会社が仲介したかがあいまいになることを防ぐためにも不動産仲介会社の押印は必要であると考えられます。
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