困った相談(その7、シェアハウスをアパートに転換したい)

 シェアハウスを運用されている方から「アパートに改築したい」と相談されることがあります。

 共通の趣味を有する方同士を集めることに成功し、円滑に運用できているシェアハウスは数多くあります。

 しかし、キッチンや浴室を共用とし、通常のアパートやマンションの一室における賃料より安く設定し、家賃の安さを前面に押し出しているシェアハウスでは様々な問題が発生しています。

 多いのは共有設備の利用方法に起因した入居者同士のトラブルが絶えないという問題です。他には共用設備が故障しても入居者の誰もオーナー様や管理会社に報告しない、掃除当番をサボる入居者がいる等の問題が発生しがちです。

 家賃の安さだけに惹かれて入居する方の属性はあまり良くないことが多く、家賃の安さが特徴であるシェアハウスでは家賃の滞納がよく発生します。これらの問題があることから、「アパートやマンションに改築したい」との相談を受けることがあります。

 シェアハウスでは、キッチン及び浴室を共用としているところが多いです。物件によりトイレも共用としています。通常のアパートやマンションに転換するためには各部屋にキッチンユニット、ユニットバス、給湯器などを設ける必要があり、そのためには上下水道およびガス設備を設ける必要があります。

 ガスおよび上下水道の配管をどのように取り回すかは大問題です。これらの配管は建物の建築時に通すのが通常であり、シェアハウスとして建設された建物に後付けすることは非常に困難なことが多いです。

 床を剥がして埋設するか、床全体を少しかさ上げすることになりますが、壁や柱の位置によりかなり難しい工事になることがあります。

 仮にキッチンユニットやユニットバス、ガス給湯器、ガス配管、上下水道配管を設けることが可能な場合でも工事費は1部屋あたり200~300万円以上になることがよくあります。10部屋の物件では2,000万円~3,000万円以上という多額の出費になります。

 相談を受けた際にはなるべく安価に対応してくれる工事業者を紹介して見積りを作成するのですが、それでもかなりの金額になります。事業用ローンを利用して改築費を賄おうとしても、オーナー様の財産状態により金融機関が難色を示すことがよくあります。

 このために残念ながらシェアハウスからアパートへの転換を断念するオーナー様が数多くいらっしゃいます。様々な相談を受けますが、シェアハウスをアパートに転換したいという相談は、残念ながら相談者の期待通りにならないことが多い問題の一つです。