困った相談(その31、都心にある高利回りの収益不動産に買い替えたい)
収益用不動産を所有されている方から、「都心、それも山手線の内側に限定して高利回りの1棟マンションに買い替えたい」等の相談をいただくことがあります。
しかし、コロナ禍が継続している現状では「困った相談」です。そのような物件が全く存在しなくなっているからです。
都心で売り出されている収益用不動産は低利回り
コロナ禍になる前は「困った相談」ではなく、候補となる物件を数多く紹介することが可能でした。しかし、コロナ禍により飲食業および物品販売業が不振になり、収益用不動産の運営を始める事業家が爆発的に増え、特に都心の1棟マンションまたは1棟アパートに対する需要が急増しました。このために売主様が強気になり、物件価格が急騰しました。その結果、旧耐震の物件を除き利回りが非常に低い物件ばかりになっています。
現在販売されている、山手線の内側にある新耐震の収益用不動産における表面利回りは3.5~5%のものが多いです。コロナ禍になる前は表面利回り7~9%程度の物件が多かったので、隔世の感があります。
買い替え需要が激減
買い替えを希望されるお客様は、既に表面利回り7~9%程度の物件を所有されていることが多いです。物件を売却して得られる金額に手持ちの現金を足して山手線の内側にある物件に買い替えることをお考えになる方が多いですが、買い替えた途端に利回りが3.5~5%迄下がります。買い替えにより賃料収入が激減するのでは買い替える意味がありませんので、買い替えを断念されるお客様が大半です。
買い替え需要が低迷しているため、新規に売り出される中古の収益用不動産は全般的に減少しています。山手線の外側にある都区部の物件、川崎市または横浜市の物件も売り出される数が減っています。
買い替え需要は減少しているものの、新規に収益用不動産の運営を始める方による需要は旺盛です。コロナ禍が長期化し、いつ終息するのか見通しが立たなくなっていることから飲食業または物品販売業から完全に撤退し、収益用不動産の運営を始める事業家が増えています。現在、売り出される物件数が少ないことから利回りが低い物件でも売れています。
高利回りの収益用不動産をお探しの方には「何が何でも都心の物件でなければならないか」について再検討することをお勧めします。都心の物件にこだわらなければ、高利回りの物件を探すことが可能です。
なお、郊外の物件は空室が生じると次の入居者が決まりにくいエリアがあります。郊外の物件を探す場合は地元の不動産会社の意見を参考にしながら物件を探すことをお勧めします。
今後の見通し
表面利回り3~4%の物件は、事業用ローンを利用して購入する方には不向きです。事業用ローンの利率は2~3%に設定されていることから物件を購入した途端に大赤字になり、賃貸住宅の運営事業から撤退することになります。このような物件をローンで購入して維持することは極めて困難どころか無謀です。
価格がこれ以上値上がりして利回りが更に低くなると購入する方が誰もいなくなるので、さらに値上がりし続けることは考えにくいです。コロナ禍が終息すれば物件価格は徐々に下がると思われますが、数年または10年以上かけてゆっくり下がると予想しています。物件価格が下がり、以前のように表面利回り7~9%の物件が増えれば買い替え需要が創出され、物件数も増えると思われます。
※あくまでも筆者の予測です。投資判断は自己責任にてお願いします。
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