収益用不動産の運営(不動産投資)はオワコンか?

2022年9月9日

 このブログでは何回か掲載していますが、新型コロナウイルスの蔓延およびコロナ禍の長期化、および「老後は2,000万円以上が必要」というフレーズの一人歩きなどによりの東京都区内などの大都市圏では収益用不動産に対する需要が急増しました。その結果、売主が強気になり、数年前と比較するとかなり高い価格で売買されています。

 現在、東京都区内における収益用不動産は表面利回り3~5%前後の物件が主流になりつつあります、数年前は表面利回り8%程度でも「利回りが低すぎる」として買い手がなかなか現れない状況でした。

 表面利回り3~5%の物件では、事業用ローンの年利が2~3%であることからローン返済分を除いた粗利は1~2%にしかなりません。あまりにも少額なので、固定資産税および都市計画税の支払い、建物の維持、設備の更新を行い、賃貸住宅の運営を軌道に乗せることは絶望的です。

 このことから「収益用不動産の運営はオワコンである」とか「不動産投資をする時代ではなくなった」等の記述をするWEBサイト、雑誌等が増えています。

収益用不動産の運営はオワコン?

 事業用ローンを利用して東京都区内の収益用不動産を購入して運用することは極めて困難な状況です。しかし、収益用不動産の運営については購入する物件の選択および管理の方法を誤らなければ安定した利益を得られるという特性があります。事業用ローンを利用しなくても物件を一括で購入できるだけの資金がある方であれば、「オワコン」とは言えないと考えられます。

 また、1棟アパート、1棟マンションなどの収益用不動産を購入すると、評価額が下がることによる資産圧縮効果があるので相続税対策になります。

  東京都区内の収益用不動産を購入して運用することは 、「富裕層」と言われる方においては決してオワコンではありません。

「富裕層」ではない方が収益用不動産を購入して運用する方法

 事業用ローンを利用して購入したい方は郊外、または東京・横浜以外の大都市にある収益用不動産の購入を検討することをお勧めします。なお、信用金庫や信用組合では融資の対象となる物件の所在地をかなり限定していることが多いので都市銀行、ネット銀行などを利用しなければならないことがあります。

 郊外の物件は「空室率が高い」、「満室になりにくい」、「家賃が安いので利回りが低い」という印象があります。しかし、現在はまだコロナ禍が終息していません。満室ではない郊外の物件における利回りが、東京都区内における物件の利回りよりも高利回りであるパターンが増えています。

 ただし、郊外の物件では駐車場付きであることが必須です。また、郊外とはいえ、繁華街に近い物件の方が入居者の募集には有利です。

 郊外にはインターネット光回線がまだ開通していない(開通させるためには莫大な工事費が必要)エリアがあります。この点にも注意が必要です。

 郊外の戸建住宅を購入し、リフォーム工事を行った後に賃貸戸建住宅として運用する方法も考えられます。郊外では現況空家の戸建住宅を安く購入できることがあり、中には高利回りで運用できる物件があります。

 しかし、賃貸用途で利用する際には物件の購入後に大規模なリフォーム工事を行わなければならない物件がよくあります。また、新型コロナウイルス感染症が未だに終息せず、さらにウクライナ戦争が勃発したことからリフォームに必要な資材の一部が入手困難であり、流通在庫品はかなり高騰している状況です。リフォームが必要である物件の購入は、資材不足の解消後が良いかもしれません。

 あくまでも私見ですが「収益用不動産の運営はオワコンではない」と考えています。東京都区内の物件については、利回りが現在よりも低くなると誰も購入しなくなるので今後も値上がりし続けるとは考えにくく、新型コロナウイルス感染症が終息し、ウクライナ戦争が終戦すれば少しずつ値下がりすることが想定されます。

※2022年9月9日追記
 この記事の公開後、約1週間の間に円安が急激に進行し、1ドル143~144円で取引されています。今後、円安が更に進行して1ドル160~180円という状況になると、円安が止まる兆候が現れた時点で外資系の投資会社が日本国内の収益用不動産を貪欲に買い上げ、物件価格が急激に値上がりする恐れがあります。詳細は9月8日の投稿を参照願います。

※投資判断は自己責任でお願いします。

 このブログの記載内容を参考にして不動産投資を行い、損失が発生しても筆者及び筆者が経営する会社(有限会社大森不動産)は責任を一切負いません。