都内の新築住宅に対する太陽光パネルの設置を義務化へ

 読売新聞オンラインの記事から引用します。

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都内新築住宅に「太陽光パネル」義務化、住宅メーカーに配慮か…今週にも基本方針
2022/09/05 06:44

 東京都が目指す全国初の「新築住宅への太陽光パネル設置義務化」を巡り、都は今週にも、年度内の条例改正に向けた基本方針を策定する。地球温暖化対策に二酸化炭素を排出しない太陽光発電は有効だが、パネル設置は住宅の施工費上昇に直結する。基本方針は、義務化の対象となる住宅メーカーへの配慮がにじむ内容になりそうだ。(増田知基)

住宅施工費に上乗せ
 「新制度の普及には建築主への支援策が不可欠だ」。8月24日、都側が設けた意見表明の場で、住宅メーカーの業界団体の代表者は都の方針におおむね賛同しつつも、注文も忘れなかった。

 背景には、米国の住宅需要の回復に伴う木材価格の世界的な高騰で、都内の戸建て住宅の価格が上昇していることがある。不動産調査会社「東京カンテイ」によると、6月の建売住宅の平均価格は5207万円と前年同月から648万円も増えた。

 パネルの設置費用は、1棟あたり100万円前後。都内の中堅住宅メーカーの幹部は「施工費がさらにかさめば、経営を確実に圧迫する。日当たりのいい場所を確保できるとは限らず、設置を望まない顧客に家を売れなくなる」と不安を募らせる。

日照に応じて区分
 新築住宅への太陽光パネル設置の義務化は、政府も昨年検討した。しかし、初期投資の負担が大きいことや、地域ごとに日照時間に偏りがあって投資回収の期間に差が出るため、全国一律の義務化を見送った。

 先月公表された都のパブリックコメント(意見公募)の結果も、「電力不足の解決になる」といった賛成意見が56%を占めたのに対し、「建物が密集する東京では日陰が多くて発電できないのでは」「義務ではなく助成で進めるべきだ」などの反対意見も41%に上った。

 こうした経緯から、都は基本方針に、パネルを設置すべき建物の割合を地域の日照量に応じて区分することを盛り込む方針だ。高層ビルやタワーマンションが多い千代田区と中央区は30%、低層の住宅街が広がる目黒区や世田谷区、多摩地区の大半を85%とするなど各地の事情を考慮した。

 また、狭小な建物は設置スペースを十分に確保できないため、屋根面積20平方メートル未満の建物は対象外とする。

~以下、略~

読売新聞オンライン

 東京都内に太陽光パネルを設置してもビルが多いので日陰が多く日照時間を稼げません。何よりも問題なのは太陽光パネルの維持費がかさむことと、寿命が来たパネルの廃棄方法が確立されていないのに設置を義務化するという見切り発車の姿勢です。

 太陽光パネルには寿命があります。パネル自体の寿命は約30年といわれていますが、設置後は年数の経過に伴い発電効率が徐々に低下します。それにパネルを設置すれば足りるわけではなく、パネルに使用されている電線、送電するための機器類も必要です。電線及び機器類の寿命は短く、一般的な家電製品の寿命である約10年と同程度であると思われます。寿命が来た場合は交換する必要があります。

 それに台風が上陸した場合は暴風により太陽光パネルが破損します。大雪が積もった場合は雪の重さで破損することがあります。ガラスで覆われており、屋外に設置するという特性から台風や暴風、大雪には無力です。一般的な寿命が来る前に交換しなければならないことも考えておく必要があります。

 廃棄される太陽光パネルは年間でどのくらいの量になるかを想定しているのでしょうか。さらに廃棄されるパネルに含まれる有害物質(鉛、セレン、カドミウムなど)をどのように処理するのかについて、真剣に検討したのでしょうか。検討しているとはとても思えません。

 太陽光パネルを一般廃棄物(不燃物)として処理するには量が多すぎて話になりません。設置を義務化する以上、年間に廃棄される太陽光パネルの予想量、回収に関するシステム、廃棄に要する費用などが公表されて然るべきなのですが、このあたりの情報は全く伝わってきません。

 「回収したパネルは外国に輸出し、処理してもらえば良い」と考える方が多くいらっしゃいますが、この考えは時代遅れです。どの国も自国の環境問題を真剣に考えるようになっています。外国に産業廃棄物を引き受けてもらうことは考えられない時代になっています。

 地球温暖化の原因は炭酸ガスであるとする見解が大手を振るっていますが、石炭や石油を燃料として大量に利用するようになったのはここ200~300年の話です。約5,000年前の縄文時代は現在よりも温暖であり、縄文時代に南極の氷が大量に溶けたとする記事(プレスリリース)があります。石炭や石油を燃料に利用していない時代が現在より温暖であり、南極の氷が大量に溶けたことはどのように説明するのでしょうか。地球温暖化の原因が炭酸ガスであるかは大いに疑問です。

 結局のところ、太陽光パネルの設置義務化は東京都の為政者による単なるパフォーマンスであると考えるしかありません。太陽光パネルの設置が義務化された場合は住宅の施工費は大きくアップし、東京都内における住宅建設には急ブレーキがかかると思われます。  

 太陽光パネルの設置義務化については安倍元首相の暗殺および国葬、某有名俳優のセクハラ・暴行疑惑の報道に隠れていることからほとんど注目されていないようです。しかし、太陽光パネルの設置がこのまま義務化されたら大騒動になることが避けられないと思います。