空き家問題について

 マスコミの報道、不動産に関するブログ、雑誌記事等に空き家問題が取り上げられています。「人が住んでいない空家は放火される、ホームレスが住み着く等の恐れがある。空家が多いことは社会的な大問題である」という論調が目立ちます。

 確かに空家は増えつつあります。しかし、半数以上は交通が不便なエリアに立地する別荘や賃貸アパート、賃貸用戸建住宅です。空き家問題に関する報道や記事を目にすると、自己居住用の住宅が朽廃し、廃屋同然の状態である家が増えている印象を受けますが、現実は異なります。廃屋同然の空家は意外に少ないです。

 郊外にある物件の大半は、自家用車の利用が不可欠です。以前は交通が不便なエリアでも個人経営の食料品店や日用品店等が点在していたことからそれ程不便を感じることなく生活することが可能でした。 

 しかし、現在は郊外における食料品店および物販店はチェーン化された大規模小売店舗に集約され、買い物をする際は自家用車の利用が必要不可欠になりました。

 自家用車の普及に伴い、バスなどの公共交通機関の運行本数が大幅に減便、または廃止されました。自家用車の利用がますます不可欠になっています。

 空家の多くは駐車場が併設されていないか、自家用車の乗り入れが困難であり、かつバスなどの公共交通機関の運行本数が少ないエリアにあることが多いです。

 駐車場が併設されていれば十分な稼働率で稼働すると思われる賃貸物件が数多くあります。自己居住用の戸建住宅についても同様であり、駐車場があれば需要が見込まれる物件が数多くあります。

 しかし、様々な事情により駐車場の併設が困難な物件が多くあります。取り壊して更地にして売却したくても解体費用は高額であり、更地にしても売却の見通しが立たないことがよくあります。これが空家のまま放置される原因の一つです。

 また、建物を取り壊すと土地の固定資産税が6倍に跳ね上がるという問題があります。固定資産税の上昇を回避するため、空家が建った状態で放置されることになります。

解決策

  建物を取り壊し、更地にすると土地の固定資産税が6倍に跳ね上がるという法制度上の問題があります。これがあるために利用しなくなった空家を更地にすることが難しくなっています。

 また、朽廃した家屋については解体費用の補助制度を設け、土地所有者が希望する場合は物件を国、又は地方自治体に無償で譲渡できることを制度化するべきと考えます。

「空家がいけない」としてマスコミなどが問題にするだけでは解決できない問題であると考えます。