賃貸物件の入居希望者が決まらない場合(オーナー様向け、その5)

昨日の続きです。(「その4」迄では収まりませんでした。)

11.管理業者や不動産会社の担当者を虐めるのは逆効果

空室が埋まらないのは管理会社や不動産会社が怠慢であるからだと一方的に決めつけ、担当者に暴言を吐く、怒鳴りちらす、会社にやってきて大声で騒ぐ等の無茶ぶりをするオーナーがいます。かなり多くの不動産会社や管理会社において、このようなオーナーの存在に頭を抱えています。とても残念です。

現在、コロナ禍であることから不動産会社にお客様が来店されなくなっています。賃貸物件の入居者募集情報をインターネットのポータルサイトに掲載しても、大半の物件において、反響はほとんどなくなっています。

コロナ禍であることから将来の雇用情勢に不安を抱く方が増えています。勤め先の倒産や解雇を想定し、支出を抑え、貯金をする方が増えています。転居するには引越費用や仲介手数料が必要です。気分転換程度の動機で転居を決められる方は皆無に近い状況です。

現在、都心および都心近くの賃貸物件に空室が増えています。主な原因は、収益用物件の購入が相続税対策として有効である等の情報が流布されたことから賃貸マンション及びアパートの数が増え、競争が激化していることにあります。特に都心のJR各駅、および私鉄急行停車駅の駅近くにある賃貸マンションやアパートは増えすぎており、競争が激化しています。

空室が続くことはオーナー様における資産の喪失であることについて、大半の管理会社や不動産会社は十分に理解しています。このため、多くの管理会社および不動産会社では入居促進に繋がる提案(広告、小規模リフォーム、外壁塗装等)をさせていただき、その費用もなるべく安くなるように提案させていただいています。

資金が不足するために提案を実施できないことがあります。この場合は資金のある範囲内で出来ることを再提案させていただくことになります。

ところが、十分な資金があるのに「お前の提案などはどうでも良い。どのような物件でも、入居者を連れてくる義務がある。いつまでも空室なのはお前の怠慢だ。」等と言って担当者を恫喝するオーナーがいます。

「入居者はまだ決まらないのか。」という電話を担当者の携帯電話に毎日かけ続け、電話の度に怒鳴り上げて恫喝するオーナーがいます。また、担当者を突然呼び出し、訳のわからない理由で2時間以上も延々と大声で怒鳴り散らし、時には暴力行為に及ぶオーナーがいます。まさにクレーマーです。「お客様は神様だ。不動産屋にとって俺はお客様であり神様だ。」と思っているのでしょう。

このようなことをされると、退職する従業員が出ます。管理会社や不動産会社の経営者にとっては大迷惑です。

不動産業や物件管理は相互の信頼関係を基礎に成立しています。信頼関係を維持できないオーナーの仕事を引き受けることは困難どころか無理です。管理会社や不動産会社の担当者を虐めても入居者は決まりません。怒りに任せた行為がきっかけで管理会社や不動産会社が対応し、入居者が早く決まることはありません。

このような無茶ぶりを発揮するオーナーの物件の管理を引き受けている場合は、管理会社や不動産会社から管理委託契約を解除することがあります。あまりの無茶ぶりに業を煮やした結果、解除まで至る事案が増えています。信頼関係を維持できないので仕方ありません。

また、このようなオーナーの物件の管理をしておらず、媒介契約に基づく入居者募集のみを引き受けている場合でも、担当者はお客様にこのようなオーナーの物件を紹介したがりません。このようなオーナーに関わるとろくなことがないことを知っているからです。結果として、空室のままいつまでも放置されることになります。

入居者がなかなか決まらないからといって、管理会社や不動産会社の担当者を虐めるとか、しつこく迫るのは逆効果です。