フラット35の不正利用を会計検査院が新たに56件確認
朝日新聞デジタルの記事から引用します。
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住宅ローン「フラット35」不正、会計検査院が新たに56件確認
山本孝興 2022年10月5日 17時00分国の補助金が使われる長期固定住宅ローン「フラット35」で不正利用が相次いでいた問題で、会計検査院の検査で新たに56件の不正が確認された。検査院は5日、ローンを提供する住宅金融支援機構に改善を求めた。
フラット35は、持ち家取得促進のため、機構が民間銀行などと連携し、低い固定金利で提供している。しかし、自ら居住せずに投資目的に利用する契約違反が相次いでいたことが判明し、機構の調査で計162件の不正が確認されていた。
検査院によると、東京や大阪など8都府県の2017~18年度の契約計7100件を抽出して利用状況を検査。機構が確認した不正とは別に、56件(20年度末の残高約19億円)で契約違反を確認した。最初から投資目的で利用されていたのが5件で、51件は一定期間居住するなどした後、無断で第三者に貸し出されていた。フラット35は、機構の許可を得れば転勤などの理由で途中で賃貸にすることが認められているが、無断の貸し出しは契約違反となる。
~以下、略~
朝日新聞デジタル
「フラット35」とは35年間固定金利で利用できる住宅ローンであり、住宅金融支援機構が国からの補助を受けて運用しています。
収益用不動産を購入する際にローンを利用する場合は、事業用ローンを利用する必要があります。ところが「自己居住用の不動産を購入する」と偽り、返済利率が低い住宅ローンを利用して後で問題になる事案が数多くあるようです。
収益用不動産の購入にはフラット35等の住宅ローンを利用できません。不正利用が発覚した場合は期限の利益を喪失したとして残額の一括返済を求められます。返済できなければ任意売却または裁判所が開催する不動産競売により強制的に安く売却され、借金が残ります。残った借金は何年もかけて返済する必要があり、借金が巨額である場合は自己破産を迫られることがあります。
さらに、金融機関から詐欺罪で告訴されることがあります。詐欺罪には罰金の規定はありません。立件された場合は10年以下の懲役刑に処せられることがあります。
住宅ローンの不正利用については主に以下の4パターンがあります。
1.質の良くない不動産会社がお客様に住宅ローンの利用を提案する
2.お客様が「住宅ローンを利用したい」と不動産会社に要望する
3.お客様が「自宅用に利用する」とのウソを不動産会社に告げたことから不動産会社も騙され、住宅ローンを申請する
4.住宅ローンを利用して物件を購入し、自己居住用に利用していたが転勤することになり賃貸物件として三者に貸したが、事業用ローンへの変更手続きを怠り、住宅ローンを利用し続ける
住宅ローンの方が事業用ローンよりも審査基準が緩く、事業用ローンと比較すると毎月の返済額が少ないことから住宅ローンを利用したくなるのでしょう。しかし、住宅ローンの不正利用は、長期にわたる返済期間のどこかで必ずと言って良いほどに発覚し、大事になります。
金融機関は「転送不要」として物件を宛先とした郵便物を不定期に送ります。この郵便物が返送されたことにより不正利用が発覚することが多いです。
信用金庫や信用組合の場合は貸出先の顧客を不定期に訪問し、その物件に居住しているかをそれとなく確認しています。表札が異なっている、面会を拒否し続ける等の場合は不正利用を怪しまれます。
転勤等の理由により物件を第三者に賃貸する場合
上述したパターンの4に該当する事案も不正利用になります。この場合は事前に金融機関と相談する必要があります。「相談を忘れました」では済まされません。この場合も一括返済を迫られることにつながるので要注意です。
元記事によると、新たに確認された不正利用の大半は一定期間の居住後に賃貸物件として利用された案件のようです。「相談を忘れた」、「相談が必要なことを知らなかった」等と申し開きをしても、会計検査院が不正利用と認定した以上、残額の一括返済を求められることになると考えられます。
仕事柄、一括返済を求められた方からの相談、および交渉を数多く行っているので知っているのですが、一括返済を迫られると多くの場合に家庭内不和が生じ、夫婦の場合は別居や離婚につながることが多いです。お子様がいる家庭の場合は、お子様を不幸にすることにつながります。
一括返済ができず、所有する不動産が不動産競売でかなり安く売られたことから多額の借金が残り、そのために自己破産を迫られた方がいます。この方は自己破産をしたためにある国家資格を剥奪され、廃業されました。お金の問題だけでは済まないことが多いです。
フラット35等の住宅ローンを不正に利用すると人生が破滅しますのでご注意ください。
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