賃貸物件の空室を早く埋めるために(チェックポイント)

 私の会社がある東京都目黒区は、山手線の外側にある区の中で最も家賃が高額なエリアです。
 (渋谷区や新宿区などの山手線の内側および外側の両方に跨る区は、「山手線の内側にある区」としています。)

 2022年10月の時点では空室率が2割を超える物件が多くなっています。コロナ禍の長期化による賃下げや解雇が続いており、家賃の安い郊外に引っ越す動きが現れていることも空室率の増加につながっています。

 「空室を早く埋めたい」との相談を受けることがありますが、その多くは「新規内装リフォームを行ったものの、次の入居者がなかなか決まらない。多くの不動産会社がお客様を内見に連れてきてくれるのだが、入居の申し込みがない。」というものです。

 立地が良くないなど、オーナー様の努力だけでは解決できない問題がありますが、以下の内容を行えば入居者の早期決定にかなり寄与すると思います。

共用部

1.共用部(玄関ホール、内階段、廊下等)が見苦しい(汚れが酷い、クロスが剥がれている、床板が外れている等)場合は清掃、修繕する。
2.階段、廊下に住人の荷物等が置かれている場合は移動してもらう。
3.階段、廊下の照明が点灯しない場合は修理する。
4.郵便受けの取り出し口を施錠できない場合は施錠できる仕様に改修する。
5.エレベーター、オートロックに不具合がある場合は直ちに対応する。
 (エレベーターの異常な揺れや異音、オートロックが突然閉まる等の不具合は直ちに修理) 

貸室内

1.設備の故障は必ず修繕または交換する(ひびが入った便器、動作しないエアコンおよびコンロ、施錠できない窓は論外)。
2.室内に悪臭が漂う場合は排水管の汚れを疑い、専門業者に洗浄してもらう。
3.室内のタバコ臭が酷い場合は消臭する。
4.前の住人が使用していた残置物を全て撤去する(椅子、テーブル、衣裳ケースなどが残置されることが多い)。
5.クロスの剥がれ、床板の脱落などがある場合は修理する。
6.雨漏りがする場合は原因箇所を突き止めて修理する。修理完了後は天井の板を必ず交換する。
7.ハウスクリーニングを必ず行う。水回りが汚い物件は真っ先に敬遠される。
8.内装の色調が異様である場合は対応する(室内のクロス、床、天井、便器等が黒色、またはピンク色で統一されている等の場合)。

その他

1.内見の際に必要となる部屋の鍵はキーボックスに入れ、現地に置く対応(現地対応)にしてもらう。
 (内見の都度、部屋の鍵を不動産会社に取りに来てもらう対応にすると、物件の案内を後回しにされる恐れがある。)
2.物件の間取り図があれば用意する。建築時の建物設計図があれば、そのコピーを不動産会社に渡す。(物件紹介資料を早く作成してもらうために有効)
3.付近の家賃相場を調べ、相場を逸脱した高額な家賃を設定しない。
4.複数の不動産会社に対し一般媒介による客付けを依頼する場合は、依頼する不動産会社をあまり多くしない(多くの不動産会社に依頼するとポータルサイトに同じ物件が多数掲載されるので、「何らかの事情があるために入居者が決まらない物件」と誤解され、敬遠される)。

 これらの条件を全てクリアしているにもかかわらず入居者が決まらない場合は、物件における個別的な要因(立地、駅からの距離、使い勝手、築年数など)が原因である可能性があります。

 マイナスとなる要因があるために空室が長期間埋まらないと考えられる場合は、家賃の値下げが必要になるかもしれません。ただし、家賃の値下げは物件の価値に大きな影響を与えます。値下げを検討する際は近隣のエリアにおける空室状況を調べ、慎重に検討することをお勧めします。可能であれば、5%以上の値下げはしないことをお勧めします。