外国資本が日本の不動産を購入しにくくする方法は、円高にすること

 為替相場の暴走が止まりません。10月20日の午後に一時1ドル150円を突破しました。

 政府の政策として多くの外国人観光客に来日してもらうこと、および外国人が日本株を購入しやすくすることを優先したいと考えている感があります。すると、日銀が為替相場に一時的に介入することはあっても、しばらくはこのまま放置し、1ドル170~200円まで円安にするつもりかもしれません。

 輸入品の価格が暴騰していますがさらに高騰化するでしょう。問題は、円安をストップさせるために急激に金利を上げることが想定されることです。さすがに1ドル170円を超えれば金利を上げて円安を止めることを検討すると思われます。

 金利が引き上げられた場合、これから不動産を購入するために住宅ローンや事業用ローンを利用する方だけではなく、既にローンを変動金利で利用している方にも大きな影響が出ます。不況による賃金カットおよび輸入品価格の上昇だけではなく、ローンの返済額が増加するので、たまったものではありません。

 円安が進むと日本国内の不動産を外国資本が安く購入できます。日本人が国内不動産の購入をためらっている間に、外国資本が日本の不動産を安く買い叩く状況になります。

外国資本が日本の不動産を購入しにくくする方法は、円高にすること

 長渕剛氏がツアーで「外国人に土地を売らないで欲しい」と熱弁を振るっています。ナショナリズムが絡む問題であり、これに賛意を表明する政治家及び著名人が数多くいます。詳細は後述しますが、「売るな」というだけでは売主においてあまりにも酷です。

 外国人が日本の不動産を購入しにくくするのに効果的な方法は円高にすること、および国内の景気を良くすることです。1ドル100円程度の円高になり、さらに日本人の所得が増加すれば日本人が不動産を購入するようになります。その結果、外国人による不動産の購入を抑えることが出来ます。その方法を考えるのが政治家の役目であると思うのですが、現在は某宗教団体の問題で忙殺されており、無為無策のようです。

 不動産を売りたい方は何らかの理由があるために不動産を現金化したいと考えています。日本人の収入が激減したことから日本人が国内の不動産を購入できず、猛烈な円安により手持ち資金に余裕が生じた外国資本が日本の不動産を物色している状況では「外国人に売るな」と言う方が無理です。

 バブル景気の頃は、日本人がアメリカの土地を買い漁っていました。グローバル化の進展に伴い、日本企業が外国の土地を購入して事業所や工場を建設し、稼働させることはよく行われています。「日本の不動産は外国人に売らない」を政策として実践すると、諸外国から「日本人には自国の不動産を売らない」という報復を受けることになります。すると日本企業が外国で活躍する機会を失うことになり、不利益を被ります。

 現在、猛烈な不況が進行しています。所有する不動産を売却出来なければ破産に追い込まれる個人および法人が数多くあります。日本人が誰も購入しない不動産を外国資本が購入したいと申し出た場合において、売却できないと企業の倒産および破産宣告につながります。企業が倒産すると、取引関係を有する他の企業が連鎖倒産することがよくあるので深刻です。

 仕事柄、取引先の倒産により連鎖倒産した中小企業の社長および御家族の御世話をしたことがあります。黒字経営であり、落ち度がないのに取引先の倒産により突然破産を宣告され、社長が連帯保証人になっていたことから社長個人も破産を宣告されて全財産を失いました。この会社に勤務していた方は全て解雇され、直ちに無収入になりました。連鎖倒産は悲劇であり、本当にお気の毒です。

 もっとも、自衛隊基地周辺等における土地、および水源地を外国資本が購入することを条例などで規制するのは妥当であると思います。これらの土地を現金化しなければならない事情がある場合は国又は都道府県が「買い上げる」制度を設けるべきと考えます。