賃貸借契約書、重要事項説明書(賃貸借)を保管するべき期間

 一昨日は、不動産売買における重要事項説明書および売買契約書の保管期間について書きました。
 本日は賃貸借契約書および賃貸借契約の際に交付された重要事項説明書の保管期間について説明します。

不動産の貸主において保管が必要と思われる期間

 賃貸借契約書は収入が家賃収入であることを証明する書類です。そして税務関連書類の一つであると言えますので、不動産賃貸業を個人事業主として行う場合は当該賃貸借契約に基づく家賃収入の税務申告期限から7年間保存する必要があります。

 なお、不動産賃貸業を法人が行う場合は、会社法が法人における経理書類の保管期間を10年と定めているので、 賃貸借契約書を当該賃貸借契約に基づく家賃収入の税務申告期限から10年間保管する必要があります。

 通常、重要事項説明書が賃貸借契約更新の際に再び作成されることはありません。このため、重要事項説明書については賃貸借契約の更新が繰り返された場合でも賃貸借契約が最終的に解約された年の税務申告期限から7年間(貸主が個人事業主の場合)または解約された月が属する決算期の税務申告期限から10年間(貸主が法人の場合)の保管が必要です。

必要な保管期間は、賃貸借契約が最終的に解約された時を始期としますなので注意が必要です。

 よくあるのは、賃貸借契約が更新された際に古い賃貸借契約書を廃棄することです。賃貸借契約を更新した後も古い賃貸借契約書を保管する必要があり、その期間は古い賃貸借契約書に基づく家賃収入の税務申告期限から最低7年(貸主が個人事業主の場合)、またはその賃貸借契約書の契約期限である月が属する決算期における税務申告期限から10年(貸主が法人の場合)です。

 借主が連帯保証人を立てている場合には貸主に連帯保証人引受承諾書が提出されていることが通常です、この書類は、賃貸借契約が更新された場合でも引き続き有効です。それほど多くはないのですが、借主の退去後も連帯保証人引受承諾書に基づく債権の請求があり得るので、重要事項説明書と共に保管しておくことをお勧めします。 

不動産の借主において保管が必要と思われる期間

 賃貸借契約は債権、債務関係を示す書類です。未払い家賃、清算未了、清算不備がある等の場合は債権の問題として処理することになります。

 民法は債権の消滅時効期間を10年と定めています。退去後、何年も経過した後に未払い家賃や清算未了、徴収漏れ等の問題が表面化することはあまりないと思いますが、重要事項説明書及び賃貸借契約書は解約した後も10年間保管しておくことにより、万が一トラブルが発生した場合の対応が容易になります。契約更新があった場合は、古い賃貸借契約書も保管することをお勧めします。