目黒区では売物件を「沢山ある中から探す」のは無理
実需用不動産(自宅または自社用)の購入を考えられているお客様に多いのですが、「もっと物件はないのか。たくさんある中から選びたい。」とよく言われます。
私の会社がある東京都目黒区は賃貸物件の空室率が極めて高く、LIFULL HOME’Sによると東京都内でワースト2です。賃貸物件の空き物件はとても多く、沢山の物件がある中から希望の物件を選択することができます。しかし、目黒区における売物件の数はかなり少ないです。
少ない中からお客様の要望に合致すると思われる物件を紹介するのですが、「同じエリアにある同等グレードの売物件を10件以上紹介して欲しい」とか「20件以上は内見したい」と言われることがあります。しかし、売物件の数がとても少ないので紹介したくても紹介できないのが現状です。
「大手の不動産会社なら物件がたくさんあるはずだ」とお考えになり、大手を頼る方がいらっしゃいますが、こちらも物件の数が少なく、どうにもならないようです。
守秘義務があるので会社名は書きませんが、私と懇意にしている大手不動産会社の営業担当から懇願され、私がこの大手不動産会社に物件を紹介したことが何回もあります。大手不動産会社といえども、物件の出所は中小零細の不動産会社であることがよくあります。
目黒区における売物件の数が少ない理由の一つは、地価が高額であるために購入する方の大半が長期の住宅ローンを利用していることにあります。そして返済期間を35年に設定する方が多いです。
住宅ローンを組む場合、返済方法として元利均等償還方式を選択する方が多いのですが、この方式ではローン契約開始後、しばらくの間は返済額の大半が利息の償還に回され、元金がなかなか減りません。買い替えなどの理由により売却したくてもローンの残債が売買価格を超えることがよくあります。
残債を一括で返済できない場合、金融機関は売却に反対し、毎月の返済を続けるように勧めます。このため、住宅ローンを利用して購入された物件が売物件として出回ることは非常に少ないです。
売り物件の数が少ない理由の二つ目としては、既に不動産を所有している方の大半が環境に満足しているために「売却する気にならない」ことがあげられます。
駅近や一部の大通りに沿ったエリアを除き、建物の高さは条例により17mに制限されています。超高層ビルの建築は認められていません。また、大半のエリアにおいて60㎡(18坪)以下の土地に建物を建築することが認められていないので、いわゆるスラム街が誕生する懸念が少ないです。
海抜は目黒川の周辺を除き20~30m以上あるので、大雨による洪水が発生しても浸水しにくいと言われています。
不動産の売り物件は大型ショッピングセンターで販売されている商品とは異なり、絶対数が少ないです。このため、東京都目黒区では「同時に沢山の物件を紹介してもらい、片っ端から内見して物件を決める」という方法を実践できないのが現状です。
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