不動産売物件の値引きを求める場合の注意
本日の投稿は、東京及びその近郊における慣習に基づいた内容になります。地域により異なる慣習が適用されていますので御了承願います。
また、やや機微な内容が含まれるので予告なく削除することがあります。この点についても予め御了承願います。
自己居住用、収益用のいずれにも該当しますが、購入希望者が売主(または売主側の不動産仲介会社)に値引きを要求する際には注意しなければならない点があります。
1.駅近、立地が良好である等の人気が集中しやすい物件
「指値可」と言われた物件でもで大幅な値引きを要求すると、「購入希望者は貴殿だけではありませんので、その価格ではお譲りできません。」と直ちに断られることがあります。
この場合にどうしてもその物件が欲しければ売主の希望価格、又は少し低い金額を記入した買付証明書を再び提出すれば購入を承諾してくれるかもしれません。
問題は、人気が集中している物件の場合、買付証明書の提出前に売主(または売主側の不動産仲介会社)と値引きの金額について相談してから買付証明書を提出した場合でも、提出直後に「値引きなし」で購入する方が現れた場合はそちらの方が優先することがあることです。
特に都心の高級住宅街にある物件、特急・急行停車駅の近くにある物件、タワーマンションの上層階または最上階にある部屋、大型商業施設の近くにある物件等ではこの問題が発生しがちです。
買付証明書を後から提出した方が優先するのは納得できない感がありますが、売主から「買付証明書を受理し、記載の価格による売り渡しを承諾します。」との回答をいただいていない状況で「値引きなし」で購入する方が現れた場合は仕方ないかもしれません。
売主による「売り渡し承諾の回答」をなかなか得られないことがあります。この場合は売主(または売主側の不動産仲介会社)において、値引きなしで購入してくれる買主が現れないか様子を見ている場合があります。売り渡し承諾の回答をなかなか得られない場合(2~3日待っても回答がない場合)は回答を催促しても構わないと考えます。
結局は、人気が集中しやすい物件をどうしても購入したい場合は値引きを要求せずに「売り出し価格(売却価格)」で購入することが一番安全かもしれません。
2.建物が朽廃している物件
建物が朽廃している物件は、1棟アパート等の収益用物件である場合を除き「土地」として取引されます。解体費用の取り扱いが問題になりますが、東京都23区内では売主負担にすることが多いです。しかし、隣の神奈川県では買主負担にすることがよくあります。
建物の解体費用は建物の大きさ(床面積)により決まります。エリアおよび解体作業の発注先によりかなり異なりますが、目安として木造戸建住宅の場合で坪3~4万円/坪、鉄骨造の場合で5~6万円/坪、鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造の建物の場合は7~8万円/坪程度と思われます。
また、現在はアスベストの使用が禁止されていますが、古い建物ではアスベストを使用していることがあります。アスベストを含む建材は平成16年10月に製造が禁止され、平成18年9月に使用(流通在庫品を含む)が全面的に禁止されました。
平成18年9月以前に建てられた建物では、アスベストを含む建材を使用していることがあるのでこの点にも注意する必要があります、アスベストを使用した建物では解体費用として坪あたり2万円程度が加算されます。
建物を解体した際に発生する廃材は産業廃棄物になります。産業廃棄物の処理費は高額であり、こちらは容積により決まります。1㎥あたり2~4万円程度と思われます。
その他に整地費が必要です。朽廃した建物を購入する場合は解体~整地に要する総費用を見積もり、値引きを求める際の参考にする必要があります。
注意が必要なのは郊外にある中古戸建住宅です。収益用不動産として人気があり、交通が不便な物件ではタダ同然での売却に応じる売主がいます。しかし、朽廃が進行したことから人が住まない(住めない)空き家になった場合に取り壊し命令が発令されることがあります。その際には解体、廃材処理、整地に多額の費用が発生します。
3.心理的瑕疵がある物件
所有者に落ち度がないのに心理的瑕疵が発生した物件が多くあります。売主(または売主側不動産仲介会社)は、心理的瑕疵があることから大幅に値引きすることについて仕方ないと考えた上で売却価格を設定しています。
心理的瑕疵がない場合と比較すると、多くの物件は2割~5割程度安い価格を付けています。さらに大きな値引きを要求した場合、売主の機嫌を損ねて断られることが多いように思います。
エリアや立地により異なりますが、あまり大きな値引きを引き出すのは難しいと考えます。
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