広域連続強盗事件、玄関ドアを安易に開けてはダメ

 ご承知の通り、広域連続強盗事件が連日のように報道されています。 公表されている事件における被害額の平均は約170万円であるという報道があります。数千万円以上の現金をタンス預金している家のみが狙われたわけではなく、百万円またはそれ以下の現金、腕時計等が家にある方もターゲットになったことを示しています。

 コロナ禍が長期化したことにより勤務先から解雇され、無職になった若者がいわゆる闇バイトに応募し、強盗事件を起こしたようです。犯行の指揮をしていた複数の犯人がフィリピンで拘束されており、日本に送還され逮捕されました。事件の全貌がわかるのはもう少し先になりそうです。

 賃貸物件に入居している方が勤め先を解雇されて無収入になり、やがて貯金がなくなると家賃を支払えなくなります。オーナー様または管理会社、家賃保証会社から家賃を支払うように督促されてもお金がありません。ヤミ金融からお金を借りてしまい、返済できない状況になると脅され、一攫千金を狙えることをしなければならないという焦燥感に駆られるようになります。やがて、高収入をうたう闇バイトに応募し、事件に巻き込まれるようです。

 今回の連続強盗は、現金や高級腕時計等の置き場所を聞き出すために意図的に在宅時を狙っているようです。在宅時に侵入して最初から暴力行為をし、その場で直ちに住人を殺傷しても構わないと考えており、悪質さが際立っています。

 強盗殺人罪および強盗致死罪には死刑または無期懲役しか規定されていません。被害者が一名でも死刑になることがあります。無期懲役の場合は服役期間を最低30年とする運用が実施されています。ほとんどの場合に30年で釈放されることはなく、40~50年以上を服役することになります。事実上の終身刑です。

 それでもなおアルバイト感覚で強盗殺人を行う若者がいるわけで、闇は深いです。

防犯性能を向上させても玄関ドアを安易に開けたらダメ

 防犯対策としては玄関のロックをツーロックにする、カギをディンプルキーにする、ガラス窓を破られにくい合わせガラスにする。防犯カメラを複数設置する、カメラ付きのドアホンを設置する等を行う事が推奨されています。

 しかし、今回発生した一連の事件のように最初から在宅時を狙う強盗犯に対しては、これらの防犯対策を充実させても犯行を防げないと考えます。

 例えば宅配業者の配達員を名乗る者がドアホンから「お届け物です」と告げた場合、ほとんどの方は無抵抗に玄関ドアを開けてしまうと思われます。玄関ドアを開けることに成功すれば、隠れていた複数の共犯と共に室内に押し入り、凶器で襲撃され金品を奪われることになります。

 また、区役所や市役所、金融機関の職員を名乗る者がこれから訪問する旨を電話で連絡をしてきた場合も同様です。玄関ドアを安易に開けたことが事件を招く要因になっています。

宅配便は
・置き配を積極的に利用する。
・通販で物品を購入した場合は配達の日時を指定する。
・指定した日時以外に配達員が来た場合は応対しない。

等が考えられます。

また、区役所や市役所、金融機関等の職員が個人の自宅に訪問することは極めて稀です。訪問する旨の電話があった場合は以下の対応をお勧めします。
・所属及び氏名を聞き出す。その後、所属する区役所または市役所、金融機関の電話番号をネットで検索し、その電話番号にかけ直し、職員として在籍しているかを確認する。この場合、電話をかけてきた者が告げた電話番号は信用せず、ネット検索した番号にかけることが重要。
・該当する職員がいないと
告げられた場合は警察に通報する。

 強盗犯人が住宅に侵入した原因の多くは、住人が玄関ドアを開けたことにあるようです。玄関ドアを安易に開けないことが最大の防犯対策のようです。世知辛い世の中になりました。