土地を購入する際は擁壁に注意(続)

※約10日前に投稿した内容の続きです。

 2023年4月10日に「土地を購入する際は擁壁に注意」の記事を投稿しました。今年(令和5年)になってから投稿した記事の中で最も多く読まれています。本日の投稿は、この投稿の補足です。

 購入する不動産物件を探す際に、ほとんどの方はアットホーム、SUUMO等のポータルサイトを参照すると思います。物件の中には、崖地であり擁壁が設けられているものがよくあります。

 この擁壁が古い場合は建物を建てる前(又は再建築する前)に擁壁を一旦取り壊し、再築しなければならないことがよくあります。都道府県または地方自治体の条例により、高低差がある擁壁を再築する際は擁壁に関する建築確認申請および完成検査が必要になることがあります。

 高低差数メートル以上、長さ10m以上の古い擁壁が存在するのに、ポータルサイトにその旨が記載されていない物件があります。この擁壁が古い場合、取り壊して再築する為には1千万円以上の費用を要するのが通常です。

 ネット広告には掲載基準があります。「土地が崖地で、擁壁で覆われていない場合はその旨を掲載すること」とされています。しかし、擁壁が存在する旨の記載は不要とされています。

 つまり、高低差および幅がかなりある古い擁壁が存在し、建物の建築に際し擁壁の再築が必要でも、ポータルサイトへの掲載は不要とされています。擁壁を再築する際に多額の費用が発生し、これが土地の買主負担になる場合でも、その旨をポータルサイトに掲載する義務はないとされています。

 再築が必要な擁壁が存在することは、当該物件のマイナスポイントになります。このため、ポータルサイト上の写真には擁壁の存在を意図的に隠しているものが数多くあります。 

 通常、擁壁の再築が必要な土地、または中古戸建住宅は付近の相場よりもやや安く値付けされていることが多いです。しかし、擁壁の再築費用を全て賄えるほどに安い値付けをされているとは限りません。ポータルサイトで安い土地を見つけても、古い擁壁が存在しないかを必ず確認することをお勧めします。そのためには現地訪問が欠かせません。

 最近、筆者の周りで現地確認をすることなく土地を購入し、後悔されている方がいらっしゃいます。質の良くない営業担当から「現場を見る必要はありません。早く買わないと他の方に先に買われてしまいます。」等と言われ、慌てて現地確認をすることなく購入したようです。

 相場よりも価格が安い物件があり、営業担当に購入を急かされる場合は、急かす理由の確認をお勧めします。明確に回答してくれない場合は、その物件に何らかの問題があると考えるべきです。