郊外の中古住宅を購入する際は野生動物や昆虫に注意

 相続されたものの、空き家の状態で放置されている郊外の戸建住宅が増えています。相続人が既に自宅を保有している場合、賃貸物件として貸し出すか売却を考える方が多いです。

 コロナ禍になる前は、賃貸物件として貸したくても需要がなく、売却したくても買い手がなかなか見つからない状況でした。

 しかし、企業においてリモートワークが推奨されるようになったことから、光回線を導入できる戸建住宅に対する需要が急増しています。さらに自家用車を駐車でき、大型のショッピングセンターまでそれ程遠くない物件であれば入居者が早く決まるので人気が急上昇しています。

 賃貸住宅を運営する個人投資家の中には郊外にある築古の戸建住宅を安く買い入れ、DIYによるリフォームをされた上で貸し出す方がいらっしゃいます。郊外の中古戸建住宅の中にはかなり安く購入できる物件が多いことから、特に若い個人投資家の方が買い入れています。

 しかし、光回線を利用でき、生活に便利な物件であれば、直ちに買い入れて良いわけではありません。郊外の住宅を購入する際は、都会の物件を購入する際と異なる点に注意が必要です。

 特に注意が必要なのは野生動物、スズメバチ等です。

●野生動物やスズメバチ等が出没するエリアは要注意

 熊、イノシシ、鹿、猿、蛇等の野生動物が出没するエリアがあります。いわゆる里山の近くにあるエリアでは、これらの野生動物が出没しがちです。

 戸締まりを励行しないと野生動物が建物に入り、室内が荒らされます。攻撃性が強い熊やイノシシだけではなく、鹿も体当たりすることがあります。建物内で鉢合わせすると、住人が重軽傷を負うことがあります。

 猿が出没する地域では、買い物袋やカバンを持っていると襲われて持ち物を奪われます。また、建物の玄関や窓から建物に侵入して食料を奪います。追い出そうとすると襲われて怪我をすることがよくあります。

 蛇も要注意です。木が生い茂っている道を通行していると木の上から下に落ち、頭や肩に乗ることがあります。うっかり叩き落とそうとすると噛み付かれることがあります。マムシ等の毒ヘビに咬まれた場合、早急に対応しないと生命に関わることがあります。

 スズメバチは屋根等の隙間から侵入して大きな巣を造ることがあります。建物の出入り口近くに巣を造られると建物に出入り出来なくなることがあります。

 巣の場所によりプロでも撤去不能であることがあります。以前に筆者の会社が購入したある中古戸建住宅では、外壁の隙間からスズメバチが侵入して内部に大きな巣を造られました。

 巣を撤去するためには壁を壊すしかありません。しかし、壁を壊す際に無数のスズメバチから攻撃されるので駆除業者から「撤去不能」を申し渡されました。

 対策は、スズメバチがいなくなる冬になるまで待つしかありませんでした。幸い、スズメバチは同じ巣を翌年に使用する習性がないので次の冬に取り除きました。

重要事項説明の際に、野生動物やスズメバチの存在を説明されないことが多い

 物件を購入するまたは借りる際に現地の不動産会社から重要事項説明を受けます。しかし、その際に野生動物やスズメバチ等の存在を伝えられないことがよくあります。

 地元の方から見た場合、これらの存在は「日常的に当たり前」です。わざわざ、重要事項説明に記載するべき内容とは見做していないことがよくあります。

 物件を購入する、または借りる際は、野生動物やスズメバチの発生状況について地元の不動産会社に必ず確認することを強くお勧めします。